転売屋(テンバイヤー)という言葉をご存知でしょうか?
何か字面だけで見ると、ちょっと悪そうなイメージですよね(^^;)
この記事では、
- 転売屋は悪なのか?
- なぜ転売は悪と言われてしまうのか?
- 正しい転売とは一体何なのか?
について、順を追ってご説明していきたいと思います。
転売屋(テンバイヤー)ってそもそもどんな人?
転売屋とは、転売行為を行う人のことを言います。そのまんまですね。
では、一般的に”テンバイヤー“とはどんな人の事をいうのでしょうか。
それは、転売目的でネットショップや店舗から商品を購入し、仕入れた商品を売った差額で利益を得る人のことをいいます。
転売の中でも、せどりを行う人は”せどらー”と呼ばれ、扱う品物は主に古本や中古ゲーム、古着などの中古品をメインに転売を行います。
転売屋(テンバイヤー)はせどらーと違って、一般では手に入れることが難しいような商品や限定品などを、転売目的で購入して販売することがメインです。
転売屋とテンバイヤーは同じ?
転売屋とテンバイヤーの意味は基本的には同じです。
両方とも、”商品を転売する人”の意味で使われ、事業として商品を転売して行う業者も、ネットオークションやフリマアプリなどで売り、差額で利益を得る個人も含みます。
揶揄する意味を込めた転売ヤーの呼び名
テンバイヤーの”ヤー”は英語で”〜をする人”を意味する接尾辞のerを転売という言葉に加えて出来た言い方です。
この”ヤー”は”転売する奴”という含みを持たせて、侮蔑の意味合いも込められた言い方とも言われています。
転売屋(テンバイヤー)が悪と言われる理由
これまで書いた事を見る限りでは、特別に悪いことをしている人たちではないんじゃないの?と思われるかも知れません。
ではこの転売屋(テンバイヤー)が悪と言われてしまう理由は何なのでしょうか?
転売屋(テンバイヤー)の中には、法律やルールを守らない人たちが確かにいます。
それは犯罪行為にも繋がるような事です。
このような悪い人たちのせいで、「転売屋(テンバイヤー)=悪」というネガティブなイメージがついてしまったのだと思います。
高額チケット転売
皆さんは、楽しみにしていたコンサートライブや舞台、スポーツイベントなどのチケットが、発売早々あっという間に売り切れてしまい、オークションやチケット転売サイトで探してみたら、あるにはあるけれど定価の何倍もの価格で販売されている…
でもどうしてもいきたいので泣く泣く高額で手に入れた、というような経験はありますか?
これは紛れもなく悪い転売屋(テンバイヤー)の仕業です。
彼らは希少価値の高いチケットを狙って、早々に転売目的で大量購入し、オークションサイトなどで何倍もの値段に吊り上げて販売し、自分たちの利益を得るのです。
チケットをどんなに高額で大量に売っても、興行主や出演者には何の利益もありません。
ただ彼ら、悪い転売屋(テンバイヤー)がボロ儲けするだけなのです。
これまでチケットの転売は”ダフ屋行為”として各都道府県の迷惑防止条例で取り締まられてきました。
しかしインターネット上での取り引きは、公共の場を利用するダフ屋行為とは異なるので、この取り締まりに引っかからずに簡単に転売ができるようになってしまったのです。
※2019年6月14日よりネットの不正転売を規制するため、「チケット不正転売禁止法」が施行されましたが、未だチケット転売のトラブルはなくなっていません。
マスク転売
2020年春、新型コロナウイルスでのマスクショックは記憶に新しいところではないでしょうか。
どこへ行ってもマスクは買えず、ウイルスがますます猛威を奮っている中で、焦ってネットでかなり高額のマスクを購入してしまった、という方もいらっしゃるかも知れませんね。
マスク1箱が何と4万円で売られている時期もあったようで、このような事も最初は悪い転売屋(テンバイヤー)達が行っていました。
しかし、このマスクの場合はチケットなどと異なり、普通の人が容易に買い占めてしまえたので悪い転売屋(テンバイヤー)たちだけでなく、一般の人がオークションやフリマアプリなどを通じて、高値を付けて転売行為をするようになってしまい、前代未聞、マスクが出品禁止になるという異常事態にまで発展しました。
小麦粉高額転売(ホットケーキミックスも)
新型コロナウイルスの影響により、自宅で過ごす時間が増えました。
そんな中でまたまた悪い転売屋(テンバイヤー)が目を付けたのが、
- ホットケーキミックス
- パン
- お好み焼き
などの粉物に使われる小麦粉です。
スーパーマーケットではどこも品薄状態になり、買い占めるつもりはなく日常生活で必要なのに買えない状況下で、これもまた市場価格の何倍もの値段を付けて、フリマアプリやネットオークションで売られていました。
こちらもマスク同様、悪い転売屋(テンバイヤー )にヒントを得た一般人までが迷惑行為に手を染めてしまっていたようです。
不足しているものを買い占め
このように、悪い転売屋(テンバイヤー )達は、今、
- 世の中で不足している物
- 買えない状況にある物
をいち早くリサーチし大量に買い占めて、ネットオークションやフリマアプリなどを使って、高値を付けて売り捌くのです。
ここ最近のコロナ禍では、
- SNS上でのデマによるトイレットペーパーの不足
- アルコールやマスクなどの衛生用品関連の不足
- 特定の食品の不足
などがありました。
テレビなどのメディアでも、店舗に在庫は十分にあるからパニック買いは控えてくださいと散々伝えていましたし、自宅にもう十分にあるのに、更に買い占めに走る人達もどうかと思います。
悪い転売屋(テンバイヤー)は買い占めて更にそれを、足りなくて本当に困っている人たちに高値で売るという、とんでもない行為をして自分たちの利益を得ているのです。
困った人の足元をみて高額で販売
こうして見てみると、悪い転売屋(テンバイヤー)達は、困っている人の足元を見て、ここぞとばかりに出てきて自分達だけが甘い汁を吸うという、非人道的なやり口で成り立っています。
この悪い転売屋(テンバイヤー)のせいで、転売=悪というイメージが付いてしまっています。
違法転売屋が悪いことをして逮捕された事例3つ
次に、悪い転売屋、違法転売屋が逮捕された事例を3つ、ご案内します。
いずれも、
- 著作権法違反
- 詐欺罪
- 不正転売禁止法
で罪に問われました。
コピー品転売(著作権法違反)
20点のシャネルのコピー品を転売目的の疑いで持っていた、名古屋市在住の42歳の女性が逮捕された事件がありました。
20点と聞くとそんなに大量ではないんじゃないの?と思われるかも知れませんが、とんでもない!
例え1点でも転売目的で持っていれば、罪に問われます。
しかもこの女性もそうですが、「偽物だとは知らなかった」という言い訳は、その事を証明する術がないので通用しません。
ブランド品の偽物を
- 販売
- 転売
- 譲渡
などの行為は、
- 商標法
- 意匠法
- 著作権法
などの法律で禁止されている違法行為で、懲役10年以下、罰金1000万円以下の刑罰が課される可能性があります。
シャネルやヴィトンなどは、よほどの目利きでもない限り、本物と見紛うほどのスーパーコピーと言われる物も存在するので要注意です。
サカナクションチケット転売(詐欺)
人気ロックバンド、”サカナクション”のファンサイトに登録し、転売の目的でコンサートの電子チケットを騙し取ったとして、詐欺罪で和歌山市在住の男性が逮捕された事件です。
容疑者はチケットをインターネットサイトに出品し、落札者とコンサートの当日に待ち合わせをして、チケットのデータ入りのスマホを貸与していました。
このような手口で何と、2014年以降で約6000万円もの売り上げがあったそうです。
本当に好きなファンにとっても、またサカナクションのメンバー本人達からしても、このような転売行為は全くをもって、許し難いことですよね。
ファンは定価の何倍もの値段でチケットを買わされ、当のサカナクションには一銭の利益にもならず、おいしい思いをするのはこの悪い転売屋(テンバイヤー)だけなのですから。
逮捕されて当然のことですね。
ジャニーズコンサートチケット転売(チケット不正転売禁止法)
皆さんもよくご存知のジャニーズ人気グループ、”嵐”のコンサート電子チケットを、最大15倍の値段で転売したとして、札幌市在住の女性が逮捕されました。
この事件では、嵐のコンサートや公演の電子チケット2種類(5千円と9千円)計4人分を、SNSを通じて申し込みを受けた女性3人に、約8〜15倍の値段で転売した疑いにより、チケット不正転売禁止法違反で書類送検されました。
この女性は嵐のコンサートなど、計10公演17人分のチケットをSNSで第三者から購入後、再びSNSで購入者を募って転売を繰り返し、合計90万5千円の利益を得たとされています。
では、正しい転売ってどんなもの?
それでは違法行為ではない、正しい転売とはどういうことなのでしょうか?
基本的に、転売行為そのものは違法でないのです。
上記のように
- 常識の範囲を著しく超えた金額での転売
- コピー品やアダルト関連の物など含む商材を扱うこと
などは、罰則や罰金を科せられたり、最悪の場合は逮捕されることもあります。
チケットの転売に関しても、例えば取っていたコンサートにどうしても行かれなくなったが、このまま捨てるのはもったいない、誰か好きな人に譲りたい、というような場合、本人以外使用できないチケットや購入者以外の譲渡が禁止されている物を除き、営利目的でない(定価以下で売るなど)転売に関しては、問題ではありません。
また一部の海外輸入品の転売も違反にはなりません。
どういうことかと言うと、物価の安い国からの仕入れ、日本では価値が高いが海外では価値が低い物などをネットで仕入れて利益を出すことは違法ではありません。
(※商品によっては海外の法律では適法でも、日本では違法になるパターンもあるので注意は必要)
転売は安く仕入れて高く売る商いの基本
このように転売といっても、安く仕入れて足代や手間賃その他を上乗せした値段で売ることは商いの基本です。
上乗せして出る利益が適正であれば、何の問題もないのです。
転売は社会そのものの仕組みであり、商いは皆そのように成り立っているからです。
仕入れた金額そのままの値段で横流しするのでは、一体何の為に商売しているのかわかりませんよね。
転売そのものが悪いわけではない
転売は法律違反でも何でもなく、やっていることは小売店と同じことです。
だいぶ昔の話ですが転売というのは元々、山奥に住んでいる人に魚を転売したことが始まりとも言われています。
昨今、物流はだいぶ発達し、インターネットでもいろいろな物が買えるようにはなりましたが、それでも地方に住む人などは、商品を手に入れることが難しい状況もまだまだありますよね。
実際にその商品を手に入れるには、飛行機や新幹線を乗り継がないとならない…とか。
例えば、その地方でしか売っていない物産品をフリマアプリなどで転売する。
多少金額が上乗せされていても、その場所に行かずに手に入れられるのなら、欲しい人は喜んで買いますね。
このように転売そのものが悪い訳では決してないのです。
企業も卸から仕入れ小売する転売業
コンビニやスーパーでも、商社や通信販売でも、商品を
- 生産者
- メーカー
- 卸売業者
などから安く仕入れて、利益が出る価格で販売しています。
要するにこれも転売です。
個人で行う転売も、小売店などから仕入れた商品を販売しています。
仕入れ先は異なっても、”商品を安く買って高く売る”
もしこの行為を法律で禁止すれば、この世の中で物を売ることは全て違反!と言うことになってしまいますよね?
世界にはそもそも定価がない
定価とは一体何なのでしょうか?
同じ商品がスーパーによっては違う価格で売られています。
希望小売価格というものがあり、メーカー側で「できればこのくらいの値段で売って欲しい」という目安のようなものはありますが、その値段より安く売っている所はいくらでもありますよね。
また商社にはそもそも定価というものは存在しません。
時代がどんどん変化し、常識も変わっていく中で、定価という概念はもはや時代遅れになってきています。
卸も転売屋もお客様も三方よしが正しい転売
かつて近江商人の世界では
- 「売り手よし」
- 「買い手よし」
- 「世間よし」
の「三方よし」の精神が商いの根本でありました。
買い手と世間を第一に考えて、それらが「よし」であれば「売り手もよし」である。
売り手は本来の務めを果たし、結果としての儲けはありがたく頂戴する。
同じように、卸売り業者は
- 売り切りたい物
- 売り損ねて残っていた物
でも在庫で余るよりは、多少安くしてでも捌ける方が良い。
そしてそれらを転売屋は安く仕入れ、常識の範囲内で
- 手数料
- 手間賃
- 足代
などを少し上乗せして転売する。
そしてまたまたお客様は、普通で買うよりはお得な値段で商品を購入することができる。
転売ヤーのせいで悪だといわれ転売のイメージダウンしている
これまでお伝えしてきたように、詐欺罪などの犯罪行為になるような悪い転売屋(テンバイヤー )達が蔓延るようになり、転売=悪のネガティブなイメージがついてしまいました。
おかげで、常識範囲内での転売でお金を稼いでいる人達も一括りに悪とされてしまっています。
確かに”転売”にまつわるこのような事件をたくさん耳にすると、「転売って悪いことなのね」と思ってしまうのも無理はありません。
けれども重ねてお伝えしたいのは、この世の中の商売という物は全て”転売”によって成り立っており、
- 商店
- スーパー
- ネット販売
などで、種々雑多の商品を買っているあなたも私も、その”転売”の仕組みの中で、生活しているのです。
イメージを悪くしているのは、悪質転売屋(テンバイヤー )によるものです。
まとめ
- 転売屋(テンバイヤー )が悪と言われる理由
- 正しい販売
についてお伝えしました。
もしも身近で、転売を生業としているというような人が居た時に、転売=悪とはなから決めつけないでください。
転売自体は立派な商い行為で、それを生業としていても何一つ悪い事ではありません。
ただそれを悪用して、私腹を肥やすような転売屋(テンバイヤー )が悪なのです!
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